もし歯を失くしたら。インプラントという選択もあるかもしれない
コラム記事
こんにちは!溝の口駅から徒歩3分、完全個室の歯医者「ハートデンタルクリニック溝の口駅前歯科矯正歯科」です。
ハートデンタルクリニックでは、患者さんのお口や歯の健康に関するコラムを歯科専門医の目線からお届けしています。
歯科診療の項目で、インプラント、という項目もよく聞かれるようになったと思います。ただ、ひとくちにインプラントと言われてもどのような治療なのか具体的な内容をご存じでしょうか。まず浮かんでくるのは自由診療であることや、ねじを使って歯を装着する手術、というイメージでしょうか。
テレビなどメディアでもよく取り上げられるようになっていますし、インターネットからも情報を得ている方もいらっしゃるでしょう。
「もしも歯を失ったら、インプラントという治療方法もある」
すでに半世紀以上になりますが、1960年代を過ぎてから歯科治療でインプラントへの取り組みがはじまりました。
これまで多くの技術的な研究や意見交換が繰り返されて現代まで継続し、歯科医師の診療項目として一般的な治療となりました。みなさまにお伝えしたいのは、インプラントというのは歯を失った場合の治療方法のひとつとして認識していただきたいということです。
歯の治療のうち、抜歯と抜髄は異なる治療ですが、前者は歯を抜く、後者は歯の神経を取り去るということです。ときどきこのふたつは同じことである、とお考えになる患者さんもいらっしゃいますが、このふたつはまったく異なる治療です。歯は、大きく分けると歯冠と呼ぶ頭の部分があり、歯根という歯の根があります。
歯の根を残すための治療が抜髄であり、抜歯は歯を歯根から取り去るため歯がなくなります。
抜歯したあとの治療とは
抜歯して歯がなくなったあとは、インプラント、ブリッジ、入れ歯のいずれかによって治療します。
インプラントは基本的に保険適用外の自費診療になります。
ただし、例外があります。
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病気や第三者行為の事故によって、顎の骨が広範囲に欠損した
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生まれつき3分の1以上顎の骨が欠損している、または形成不全があると診断された
このケースに該当するとほとんどは大学病院などでの処置、対応になります。
インプラントとは人間の歯の構造から、人工的に製作する際は歯冠と歯根を再現する必要があります。このとき、インプラントでは歯根部をねじにしてチタン合金で製作し、歯冠部を各種被せもの(上部構造)という形に分けます。そして歯全体の形にするためにつなげたものがインプラントになります。
インプラントとは?
1.歯を失った治療法としてはインプラントが良いでしょうか?
必ずしもそうだとは限りません。なぜならお口の中の状況については個人差があり、患者さんの状況によってはブリッジや入れ歯が適している可能性もあるのです。
2.どうしてインプラントは高額になるのですか?
インプラントで必要になるねじや手術のほか、かぶせ物を製作する費用などインプラントを行うためにかかる工程が多く、そのために費用がかかる治療方法です。
安い材料を選ぶことでよっては低コストにすることはできますが、リスクも生じる可能性があります。
世界の主要インプラントメーカーの材料を使うと、標準的なもので1本あたり35万から45万前後です。
参考までに、天然の歯はいくらくらいか、というと1本あたり100万円以上ではないかと言われているほど価値があるものなのです。
3.インプラントは歯を失っていたら誰でも治療できるのでしょうか。
残念ながらできないこともあります。なぜならねじの部分は歯根と同じ部分ですからあごの骨に入れるため、その骨がじゅうぶんでなければねじを入れることができないのです。骨が足りていない患者さんには自分の骨を移植したり、足りない骨を人工骨を足したりして治療する必要があります。このGBR手術自体が繊細な手術でもあるため、各国でも論議があります。慎重な治療、事前の計画なども望ましく、それもまた患者さんの状態によるものではあります。既往歴のある方、投薬治療中の方、さらには飲酒や喫煙などを含む生活習慣などもリスク因子となる場合があり、治療をお引き受けできないケースもあります。
4.インプラントは手術の際、また終わってからも痛みや腫れが生じますか?
何本の歯をインプラントにしたのか、またその場所、手術の内容によって痛みや腫れの症状も異なります。手術では麻酔を使用し、患者さんが手術中に痛みを感じたら麻酔を追加するなどして対応します。手術中に痛いということはほとんどないと考えてよいでしょう。手術後に麻酔が切れると多少の痛みが生じることはあります。処方する腫れ止め痛み止めを服用していただくことで痛みを和らげることになります。個人差ももちろんありますが、術後の腫れのピークは2~3日です。ほとんどの方はおおむね1週間ほどで通常の生活に戻られます。
5.治療の期間はどのくらいでしょうか。回数としては何回通えばいいですか?
標準的なインプラントの場合は次のような流れになります。
◎診断
◎詳細の説明(費用など)
◎1次オペ→抜糸少し期間を空けて
◎2次オペ→抜糸
◎型取り
◎セット
患者さんによっては2次オペの必要がありません。
来院いただく回数はさほど多くはないと思います。
ただしオペ後には、ねじと骨が結合するまでの期間を見る必要があり、そのため平均で2か月から4か月程度かかります。
患者さんの経過や個人差にもよるものですが、だいたい数ヶ月ほどかかることになりますし、メンテナンスはインプラント後もずっと継続することが不可欠です。
スウェーデン式予防歯科としての考え方ですが、インプラントでなくても歯科医院に定期的に通うことは最も大切なことなのです。
6.インプラントで失敗することはある?失敗したらどうなる?
医療ドラマのように失敗しない、と言い切ることはできませんが、ねじと骨が結合期間を経過しても結合しないケースも中にはあります。いろんなことがこのケースの原因にはあり、これもまた一概には言えないことですが、骨や全身の状況、生活習慣、お手入れ不足、手術の状況などさまざまな要因があります。
そのような場合には追加手術を行います。
それでも患者さんの状態など場合によっては手術を中止することがあります。
インプラントのねじのずれなどはコンピューターを利用したシミュレーションに
って軽減されてきています。
7.高額なインプラントですが、一生使えるでしょうか。
一生お使いいただけるようにしたいと考えていますが、患者さんの年齢や状態、手術後のお手入れなどによってはそれができなくなることもあります。
歯を支える骨がなくなってしまうとインプラントの維持は難しいのです。歯を失う要因となる歯周病はインプラントにとっても大敵です。虫歯にならないインプラントであっても、骨が歯周病にかかってしまうことがあります。
そうなるとインプラントのまわりが炎症になり骨を失う可能性が出てきます。これはインプラントでかかる歯周病と言ってよいでしょう。インプラントは人工なので免疫機構がないため天然歯よりも治療がしづらいのです。さらには病気が進行するのも早いのです。そもそもインプラントになるのは歯を失う原因があってのことです。その原因がふたたび発生しないようにしなければ同じ原因でまたインプラントを失ってしまうことにもなりかねないのです。予防意識をしっかりと持ち、歯を失う原因となったことを改善する必要があると考えてほしいのです。
メンテナンスやお手入れをせず、虫歯になったり歯周病になったりする方であれば、そこを改善しなければインプラントを一生維持することは困難です。
インプラントにしたことをきっかけに歯を大切にすること、メンテナンスや予防歯科の考え方をしっかりと理解していただくことを願っています。
これは若い世代でインプラントを受けた方に対して特に改善していただきたいことです。平均寿命を考えると5年平均生存率が90%を超えることからインプラントは医学的にみても非常に優れている治療です。
そのインプラントの予後を左右するのは、治療を受けるときの状態と予後の状態であることを認識していただけたらと思います。
8.インプラントが安いとうたう広告とのちがいとは?
先にも述べましたが、インプラントには非常に多くの工程があるため、その分費用がかかります。安いものが悪いとは言い切れませんが、たくさんのメーカーがあり、歯科医師も世界中のメーカーを知っているわけではありません。
ですからすでに歴史があり、これまでの治療によって結果などの根拠を示すことができる主要のメーカーを選んでインプラント治療に使用するのは、信頼できると考えて歯科医師が選択しているからだと言えます。
治療にあたり、歯科医師にしっかりと質問や相談し、ご自身でインプラントについて踏み込んで理解をしたうえで治療することが大切です。
インプラント治療は、歯を失った方がブリッジや入れ歯のように治療方法の一つとして選択する治療方法のひとつです。
歯科診療も日進月歩ですが、どのような優れた治療にも絶対ということはありません。だからこそ歯科医師は患者さんにあったベストと言える治療方法を判断するために全力を尽くしています。歯科診療には保険適用と自費診療があり、患者さんが選択したり判断したりする際には悩ましいことだと思います。
どのようなささいなことでも質問していただき、しっかりとお話を伺ったうえで治療したいと考えています。患者さんのお悩みに寄り添った歯科診療を心がけています。お気軽にご相談ください。
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